うそとほんとすなとねこ

風の向くまま気の向くまま、自称読書家が今まで読んだ本を羅列する程度のブログです。

リー・アンクリッチ (ディズニー/ピクサー)「リメンバー・ミー」後編

 どうも、沙猫です。

 ディズニー・ピクサーの最新作「リメンバー・ミー」ネタバレ感想文、いよいよ後半のネタバレパートです。前編(概要と美術面講評)はこちらのリンクから→(http://hontsandnyanko.hatenadiary.com/entry/2018/04/03/160000 )

 ここから先はもう見た人・アニメも骸骨も見るつもりなんか無えぜ、という人以外はご覧にならないでください。自己責任で。ネ。

 

 

 

 

 

 

 この映画に関しては、離れていても思い出は残るとか、アミーゴの為なら天も地も動かすとか、色々と皆さん感想をお寄せになっています。

 ですが言わせてください。アーティストはまさに命を燃やして表現する者なんだな、と。

 ヘクターさんと旧友のデラクルスさん、嘗て音楽で天下を取ろうとした二人の姿を見て言ったのです。二人の因縁とその顛末は、あまりにも酷く胸を締め付けた。

 

 

 私にも大好きなギター弾きがいます。でも友達に名前を言っても皆二言目には「誰それ知らない」。これを尋ねて「あぁ、あの人? かっこいいよね」が返ってくるミュージシャンになるには、まず相当なセンスが必要。それが足りない者は、定職につけなくても、惚れた異性やその子を養うには程遠くても、必死の努力で埋め合わせねばならないのです。

 

 全国ツアーに出た二人が立たされた道もそう。音楽活動を辞めて定職に就くか、安定を蹴ってでも芸術を極めるか――妻子の為に故郷へ戻ろうと決めたヘクターさんは、友の裏切りに愕然としたデラクルスさんに殺されてしまいます。

 バンドマンは早いうちに芽が出なきゃおしまいっていうけど……自分の命どころか、同胞まで燃やしてどうするんだよ。つれぇわ。

 

 更につらい事に、遺されたヘクターさんの奥さんは真相を知る事なく、死して尚、とうとうツアーから戻らなかった彼を恨んでいました。

彼女が劇中で十八番のメキシコ民謡「La llorona」を歌う場面がございます。この元ネタは、自分を置いて出て行った元彼と、彼との間に生まれた子を想い、泣く娘の亡霊の怪談。

映画制作陣の皮肉か、彼女が好きで歌ったのか。いずれにせよ、まったく罪作りな男です。

 

youtu.be

 

↑この歌が「La Llorona」です。スペイン語のわかる方もわからない方も是非。

 

 芸術と家庭の両方にいっぺんに命を捧ぐ事は(余程の金持ち以外)できない。

だからミゲル君が「貴方の玄孫です」と(思い込んで)言った時の、デラクルスさんの喜びは本物だったんでしょうね。家庭を捨て音楽に一生をかけ、死後も実家へ戻らないで毎年コンサートを開いていたから。(仮に彼に子孫がいるとしたら、別れた女性との間に子供がいたとか、そういう経緯かな)

 そんなアーティストとファンの一瞬の喜びが、デラクルスさんが前科持ちだったという悲劇的な事実を、いっそう濃く浮かび上がらせました。

 泣いたわ。デラクルスさんから見ても、ミゲル君から見てもさ。泣くわこんなん。

 

 

 言いたいことはまだ山ほどございますが、二部にわたる長丁場にお付き合いくださった事、そのお気持ちが骨身にしみます。

 音楽好きで頑張ってるインディーズの諸君! どうか孤独に負けないで、生きて良い歌をコツコツと世に出してください!  法だけは侵すなよ!

あやややーい!